参院選に向けての活動レポート~政治にかかわる土壌を豊かに耕すために~

 今年7月の参院選で自民党や維新の会が議席を増やす一方、立憲民主党や日本共産党は議席を減らしました。れいわ新選組が議席を0から3に増やしたこと、社会民主党が1議席を守ったこと、京都選挙区で維新の会候補者の当選を阻止したことは注目すべき傾向だとしても、野党共闘が不発に終わったことのツケはあまりにも大きかったといわざるをません。

 アベノミクス以来の株価つり上げ政策が、ほとんど出口の見あたらない円安・物価高となって庶民の生活を直撃していますが、自民党政治への不満は、イメージ戦略に長けた維新の会、あるいは極端なシングルイシューでわかりやすさを演出するNHK党や参政党などに流れたと考えられます。 

 参院選に向けてのユナイトきょうとの活動は、野党間での候補者調整は困難ということを前提に行わざるをえませんでした。その上で、京都における市民連合としてのこれまでの活動が「仲間内だけに伝わる表現」に止まっていたという反省をふまえて、メッセージの表現の仕方、伝えかたを工夫しながら、日々の暮らしと政治とのかかわりを考える手がかりをつくることに力を注ぎました。具体的には、以下のようなことを行いました。 

 ① オンライン企画の開催

 新型コロナ感染症の影響もあって、対面式の企画ではなくオンライン企画が中心となりました。事務局のメンバーを中心とした「くらしと政治を考えるこの1冊」は、ひとりの市民として政治に関心を持つきかっけになった本を紹介して、話し合おうという試みです。たとえば消費税のことひとつをとっても、知っているつもりでいて知らないことがたくさんある、そうした気づきを大切にしたいと考えました。特別企画「まねーろんだりんぐ!?」は自民党京都府連による組織ぐるみの公職選挙法違反疑惑をとりあげ、「ロスジェネ世代よ、ともに羽ばたこう!」ではれいわ新選組の大石あきこ議員の話を聞きました。 

②2022年参院選ガイドの作成

 参院選の争点と思われることから、6つのトピック(介護・保育、ジェンダー平等、消費税、防衛費、原発・気候危機、緊急事態条項)を選んで、図解入りでわかりやすく解説した「参院選ガイド」を作成しました。 

 市民連合の関係者のあいだでは「憲法改悪阻止!」ということが前提とされがちですが、「(憲法改正で実現される)緊急事態条項」と「(コロナにかかわる)緊急事態宣言」ってそもそもなにがちがうの?そうした疑問にこたえることから始めなくてはと考えての試みです。 デザイナーの村上ゆいさんにデザインをお願いし、若者・子育て世代の無党派、支持なし層、その中でもとりわけ女性たちに届けることを目指して作成しました。 

 公示期間中にも配布できるようにと考えて、政党名や候補者名には一切ふれないことにしました。その代わり徹底解説のページをネット上に置いて、それぞれの政党の方針や、その問題点として考えられることについても記しました。 

 当初は新聞折り込みチラシのようにして配りたいと考えましたが、さすがに予算が足りませんでした。これまでにいただいたカンパを元にして24,000枚近くを印刷し、喫茶店などで人が集まる場所での置きビラ、近所でのポスティング、投票を呼びかける街宣などで配布しました。配布にご協力いただいた方からは、政党名・候補者名について書いていないので配りやすいというご意見をいただきました(なお、「参院選ガイド」となってはいますが、選挙後にも暮らしと政治の関係を考えるための材料として使える内容となっています。まだ残部がありますので、必要な方は事務局までご連絡ください)。 

③国会パブリック・ビューイングの共催

  参院選に向けての試みとして、街角で、道ゆく人たちと一緒に国会を見て考える、国会パブリック・ビューイングをやってみたいと考えました。ですが、必要な機材を揃えることの難しさもあって、なかなか実行できずにいました。投開票日直前の7月8日になってようやく、阪神地方でパブリック・ビューイングの経験のある方々の協力をえて西院で街角国会中継を試みました。公示期間中でしたので、やはり特定の候補者を支持するのではなく、「そもそも国会はなんのため?」「政治はだれのため?」ということを中心としたトークをあかたちかこさんと福山和人さんにお願いしました。 仕事帰り、学校帰りに足をふと止めてくれる方もいました。機材をそろえて準備するのが大変であることにも変わりはありませんが、政治にかかわる街角の空気を感じることは大切、できることならば似たような試みを継続的にやっていきたいと思えました。 

④SNS等での発信体制の充実 

 とりわけ若者・子育て世代に以上のような活動を広く知ってもらうために、SNS等での発信体制も充実しました。 

 継続的な発信を効果的にできているかというと微妙です。事務局メンバーを4名から10名近くに増やしましたが、人手が足りない上に、個人ではなくグループとして発信することの難しさも感じました。この点は、今後さらに工夫の必要なところです。


 ここに記したような活動が、選挙の結果として実を結んだかといえば、よくわからないというのが正直なところです。今回の参院選に向けての活動は、そもそも「実り」を得ることよりも、政治にかかわる「土壌を耕す」ことを目指したものであったとも言えます。 

 今後も、必要に応じて野党各党に申し入れをしたり、交渉したりしながらも、この「土壌を耕す」作業が中心となるだろうと考えています。よく耕された土壌にたっぷりと日光と水が注がれるならば、おのずと収穫はえられるはずだとも考えています。メッセージの伝え方を工夫するために、フライヤーデザイン、動画制作、テキストメッセージ作成、SNS発信、パブリック・ビューイング上映などにかかわる人手が必要という事態に変わりはありません。ここを一区切りとして、事務局や呼びかけ人に新たなメンバーを迎え入れたいと思っています。「自分にもこんなことならできそうだ!」「こんな活動をしてみてはどうか?」ということがありましたら、ぜひともユナイトきょうと事務局(unitekyoto2020@gmail.com)までご連絡ください。 

 もちろん、活動には資金も必要です。参院選チラシを大量に印刷することができたのは、衆院選に向けて寄せられたカンパの残金を引き継いだからでもあります。みなさまのカンパに心から感謝申し上げます。収支報告書にカンパをいただいた方のお名前をイニシャルで表記させていただきましたのでご確認いただくとともに、カンパの残額は今後の活動に使わせていただくことをご了解ください。今後の連絡は不要である、あるいは「ユナイトきょうと」の賛同者の登録を外れたいという方は、ユナイトきょうと事務局までご連絡ください。HPの賛同者名からお名前を削除するとともに、メーリングリストへのアドレス登録を解除いたします。

 

 投開票日直前の安倍晋三元首相の暗殺事件を契機として、旧統一教会と自民党政治家との癒着ぶりが明るみに出ました。自民党政治の屋台骨が腐っていることはだれの目にも明らかです。失政をすれば政権交代となるという緊張感を政治の場にとりもどさないかぎり、この腐敗はとめどもなく進むことでしょう。それでもこの腐敗した体制が続いているのは、自民党に代わって政権を担う政治勢力がないため、あるいは「ない」と思い込まされているためです。政治をあきらめることは、わたしたちの暮らしの立て直しをあきらめることでもあります。たとえすぐにわかりやすい成果があらわれないとしても、政治への希望を取り戻すためにユナイトきょうとの活動を粘り強く、息長く続けていきたいと思います。今後もご支援、ご協力のほどをよろしくお願いします。


ユナイトきょうと事務局(2022年8月13日現在、あいうえ順) 

池上素子、呉羽真弓、駒込武、佐々木真由美、白坂有子、

辻 範江、藤井悦子、細川孝、溝江清美、村上ゆい、村山起久子

E-mail: unitekyoto2020@gmail.com

Homepage:http://www.unitekyoto.net/ 

ユナイトきょうと

「ユナイトきょうと」は、自分たちの暮らしといのちを守るための政治のあり方を自分たちで考え、実現していこうとする個人の集まりです。全国的な市民連合のネットワークともつながっています。

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