「くらしと政治を考えるこの一冊」第3回は池上素子さんに山田正彦『売り渡される食の安全』(角川新書、2019年)をご紹介いただきました。著者の山田さんはかつて民主党鳩山内閣の議員として農林水産大臣に就任した経験をお持ちの方です。
そもそも子どもの食事は安全なのかな?というところから食に関心を持ったという池上さんのお話と、参加者の議論の中でさまざまなポイントが浮かび上がってきました。
たとえば、次のようなポイントです。
- ウクライナの戦争を受けて声高に安全保障が語れるようになっているけれど、食料自給率の低さを含めて食の安全なんとかしなくては安全保障も考えられない。
- 種子法の廃止により自分で育てた作物からとれる種でまた育てるということができなくなり、一代かぎりの種(F1品種)を高いお金で買わなくてはいけないようになっている。種交換会を開いたら「共謀罪」とみなされてしまう恐ろしさ。
- 発がん性が明らかになったモンサント社の農薬や除草剤などがアメリカやヨーロッパで禁じられて、どんどん日本に入ってきている。100円ショップでさもコーナンでも「安心、安全」と宣伝しながら売られている。この点では日本はすでにアメリカや多国籍企業に「侵略されている」ともいえる。
- 市議会で食の安全の問題をとりあげようとしても、「国が安全といっているから安全なんだろ」という次元の反応ばかり。そもそも遺伝子組み換え作物の危うさとかを知らない人が多い。
- 農協を通して豆を買うと、有機で安全に育てられた作物と農薬まみれの作物が混ぜられてしまう。小さな農家は有機、無農薬という認証を受けるのも困難。小さな農家と信頼関係で結ばれた小さなお店を通して、小さな農家を育てていくことが大切。
- この食の安全の問題は消費税の問題にもつながっている。「今だけ、鐘だけ、自分だけ」の大企業ばかりが栄え、小さな農家や小さなお店の存続が困難となり、街並みが変わっていく。本当にそれでよいのだろうか。
- 山田正彦さんプロデュースの映画「食の安全を守る人々」(2021年、https://kiroku-bito.com/shoku-anzen/)がとてもよい。ぜひ自主上映をしよう!
- 暮らしの中に食べることがある。そして、種子法のことなど食べることは政治とつながっている。誰にとっても大切な食を通して政治を考えることが大切。
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